■どうして本書を手にとったか
本屋の自己啓発書コーナーは楽しい。癒しに溢れている。本を読むだけで夢が叶い、悩みが消えるかのような気がする。
古本屋チェーン店の自己啓発書コーナーは、すこし悲しい。夢と悩みが消費された、使用後のコンドームを見るような気がする。逆説的に「何が夢の落とし穴なのか」を教わる気すらおぼえる。
おれも、自己啓発書を消費するのが好きだ。古本屋の平積みと、本屋の棚を見比べる。古本屋で見かけない、または平積みされている、その両極端が、おれの好みだ。
根拠のないデータ、独断と偏見、ムチャクチャな論理、主張の矛盾。それでも、ポジティブな言葉が並んでいると一時的にテンションは上がる。安い酒でも酔える。そうしたい気分の時もある。
そうやって見つけた本に、まれに大当たりがある。本書でも引用されている、斎藤一人さんがそうだ。
本書は、古本屋であまり見かけないので、本屋で購入した。
世界一ふざけた夢の叶え方
■語り口はわくわくしたが、内容は・・・
著者3人が仲間と一緒に、失敗や目標達成を重ねる体験談の語り口は、わくわくした。
けど、夢と実現手段が表面的にしか語られないので、内容は・・・「お金を稼ぎたい」という「夢」を「情報商材と自己啓発書の販売」で叶えた、とおれは誤読した。
著者3人それぞれの「夢」は、年収、ベストセラー、セミリタイア生活。お金を稼いだ後に何したいか、という夢が語られないので共感しにくい。夢というよりは数値目標にしか読めなかった。
その「夢」の叶え方が、情報商材の販売、自己啓発書の出版、セミナーの開催なのだ。商材や書籍の内容を見ていないのだけれど「人生を3秒で変える」「浮気調査マニュアル」「モテる男の法則」というタイトルは、正直うさんくさい。
斎藤一人さんの書籍も、笑えるタイトルだけど内容が良い、というギャップがあるので、著者3人の仕事もそうだろうとは思うのだが・・・
■期待は満たされたか
50%満たされた。30分で読み切れるので、楽しいズッコケ三人組の物語として楽しみました。
いっぽう「夢」と「夢の叶え方」は、前述のとおり共感できなかった。けれど、本書を手に取ったおれは、まんまと著者3人の「自己啓発書ヒットの作り方」に乗っかったわけで、降参です。
タイトルの「世界一ふざけた夢の叶え方」の「ふざけた」は何にかかるのかな。
世界一ふざけた夢の叶え方
ひすいこたろう 菅野一勢 柳田厚志
フォレスト出版