2016-02-13

志ん生と、ナンセンス・カタログ

 肩のチカラの抜ける、素晴らしい本を何冊か読んだので読書感想文。


■ナンセンス カタログ 谷川俊太郎+和田誠


1ページに、和田誠さんの素晴らしいイラストと
ごく短いエッセイが構成されている。

テキストの配置も、イラストの一部のようで紙面が心地よい。

惜しむらくは、文庫サイズだとエッセイが収まりきらず
次のページにはみ出していること。
テキストも1ページに収まっていたら最高だ。
古本で大判が出ていないか、探してみたい。


エッセイの内容は、ほとんど取るに足らないことだ。

紙面は心地よいけれど、
文章は記憶に残らない、つまらないな、と感じていたが、
あとがきを読んで印象が逆転し、面白さに気づいた。

引用する。

「ぼくは若いころ、感覚というものを少々馬鹿にしていたんだけど、これを書き始めた動機は自分の些細な感覚にこだわってみようということだった。忘れそうなので書いておく。」

些細な感覚を丁寧にすくい取って文章にし、1枚の絵にする。
感覚を豊かにする、すてきな「暮らしのヒント」だ。

絵にごく短い文を載せてtwitterに流す、自分もやっているあそび。
その超一流のお手本を見せられた気がした。

今度、真似してみよう。
こどもの絵日記にしかならないだろうけど、楽しそう。




ちくま文庫
ナンセンス カタログ
谷川俊太郎 和田誠
2015年 ちくま文庫30周年記念で復刊。


■文藝別冊 古今亭志ん生 増補新版


 ナンセンスといえば、古今亭志ん生。大好き。
(そういえば最近、ビートたけしが
 志ん生を強く意識して喋っているように感じる)

 単行本には載っていない「志ん生柳句」が
素晴らしかったので、思わず買ってしまった。

一個だけ引用すると
「親テング子どものハナを引きのばし」

おれも「へんなはいく」を作るのが好きなので、
その超一流のお手本を見せられた気がした。

ナンセンスについて、
お手本、お手本、とウルサイおれは、
ナンセンスの対極にいる人間なんだなあ(みつを)




河出書房新社 文藝別冊
KAWADE 夢ムック 古今亭志ん生 落語の神様 増補新版

河出書房と打とうとしたら「皮でしょ某」と変換されたことをご報告しておきます。