2016-12-18

12月のおくりもの

 そのひとは、12月におくりものをするのが好きだ。

親戚や知人、友人にたくさん、おくりものを手配する。

相手の喜ぶ顔を思い浮かべ、「そろそろ封を開けた頃かしら」と心待ちにしている。

今年もたくさんのおくりものを手配した。


そのひとの元には、おくりものは届かない。ただのひとつつも。

そして、本人はそのことには気づいていない。

自分のことを不幸だと思ったことはないのだ。