これは、とある「女性ファッション雑誌の写真」を撮った写真だ。人気モデルがスタイリングやメイクについて語るイベントに集まった女の子たち。
この写真から匂いたつ気迫に、おれは圧倒されてしまった。彼女たちがそれぞれ「かわいくなりたい」と願う気持ち。そう願うこと自体がかわいいし、それぞれの笑顔は瑞々しい。だが、それが密集すると蓮の実のような凄味がある。
だいいち、女性にとって「かわいい」ことはしんどい。かわいいだけでは飯は食えない。かわいくない人や男と同じくらい努力をしないと生きていけない。かわいくいるためには、それに加えてメイクをしたり、ネイルをしたりしなくちゃいけない。
興味のない男どもから口説かれるのは我慢できるとしても、きっと性的な視線を感じる場面は男より多いんだろうな。月に一度は必ず体調を崩すのも面倒だ。男のおれからしたら信じられないのが、トイレに行った時に流水音ボタンを押して排泄の気配を消すエチケットだ。ああ、もう大変だ。「男はつらいよ」だけど、女がかわいくいようと思ったら、もっとつらいよ。
それなのに、どうして「かわいくなりたい」と願う?なんて、彼女たち自身も答えは持っていない。花は勝手に咲くのだ。