夕暮れ時のアナウンスが一番楽しそうだ。
休みの日の夕方、映画を観に出かける時に見る風景だ。
駅員のおじさんの挙動が、平日の通勤ラッシュや混雑時と違う。
駅員のおじさんは、電車を長く、目で追う。指差し確認の動作が優雅にすら見える。アナウンスの声はトーン低く、節回しも遅い。
サバンナにいる、ライオンの仕草を思い出す。
交通インフラを支える仕事をしている、「何もしていないように見えても、私は群れを司っているんだよ」という誇りのあらわれだろうか。