これだけの高さで防止できる自殺。
最近、ホームドアが設置されている駅が増えてきた。思わず転落してしまうのを防止するだけでなく、意図して飛び込む人も抑止している。JR山手線では、人身事故(つまり転落事故と自殺の両方を含む)の件数が明らかに減っている。
たった、これだけの高さのホームドアがあるだけで自殺を食い止めることができるのだ。
駅のホームで自殺に至る人は、「仕事に行かなきゃ」というプレッシャーで家を出て駅まで来たものの嫌でしょうがない、という人だ。嫌でしょうがないけれど、今日休むと何言われるかわからないし、クビになるかも知れない。
クビになったら、もう明日からすぐ、生活がどうにかなってしまうかも知れない・・・と思いを巡らす、頭の良い人だ。
そんな悲観的な人は、ホームドアがあるだけで「ああ、これじゃ飛び込めないじゃないか」と諦めるらしい。
いや、冗談じゃない。自殺に至る心理というのは悲観的なものだ。だから、自殺を食い止めるのも、その悲観的な心理に訴えるべきなのだ。ビルの屋上には「この高さじゃ死ねない」と貼紙をしようぜ。
そもそも、自殺を食い止めるべきか、という問題はある。生きるのも死ぬのも、個人の意思でどうにかなるもんでもない。死ぬしかない時は、ある。
フリーペーパー「ポンコツ新聞」でネタにしたけれど、世界中で年間80万人の自殺がある。そのうち、日本では3万人以上。「日本人は自殺しやすい」というのは数字に表れている。日本人は遺伝的にセロトニンが弱い、という研究も読んだことがある。
セロトニンの弱さ、つまり悲観的な性質は、勤勉さや真面目さといったポジティブな面にも効いているんじゃないか。その反面、思い詰めて死を選ぶ人がいる。
死を選ぶのは自由だけど、手段や経緯によっては、遺族や周りの人の迷惑なのよ。だから、もういっぺん書くけど、ビルの屋上には「この高さじゃ死ねない」と貼紙をしようぜ。