2015-10-05

へんなおじさんとボラット


■アイマスクを買った。


目にあたる部分がふくらんでいる、立体的なかたちをしているアイデア商品だ。これをつけると快適なのだが、ブラジャーを被ってるみたいでクスリと笑ってしまった。実際に被ったことはないのに。
こういう体験のない変態行為を笑えるのは、志村けんのおかげだ。「志村けんのやる変態行為」=「笑ってよい」という認識の順番だ。


■こどものころは「志村けんがおかしなことをしている」と笑っていた。


「女王様とお呼び!」とか「へんなおじさん」とか「わけがわからない行動をする人」として笑っていた。
おとなになるとわかる。切実に「女王様とお呼び!」が好きな人もいるわけだ。「へんなおじさん」も、おとなになると気持ち「だけは」わからんでもない。

もちろん「おかしなもの」に共感させる表現力のすごさもある。表現力についてつけたすと、志村けんの「ひとみ婆さん」は、ほんとに老婆に見える。こう感じさせる表現力のある人は、俳優にもなかなかいない。


■よのなかのおかしさを的確に表現できる志村けんはかっこいい、と大人になるとわかった。


要するに、こどもの頃は、わけもわからず志村けんを笑っていた。おとなになると、自分も含め「へんなおじさん」がよのなかに溢れていると気づく。
笑いの対象は志村けん個人ではなく、よのなか全体だった、ということ。映画「ボラット」にも同じことを感じた。
「へんなおじさん」ではなく、「何だチミは!」と注意していた隣人のほうが法を犯してしまった。これも同じことの暗喩のようにすら感じる。

(志村けんは、歴史上の人物と同じく普通名詞として敬称略で表記しました。)


2015-10-04

Apple Musicと、サジェスト/リコメンドの限界

■Apple Musicの試用期間がそろそろ終わる


継続しようか、悩み始めた人は多いんじゃないか。
おれは醍醐味を享受していないので、継続しない、という気分。自分のライブラリに溜めたロスレス音源が圧縮音源にダウングレードしてしまう点がいやなので、最大限の利用はしていないのだ。

もちろんappleの「スマホで聴く程度なら多少ビットレート低くてもわかんないでしょ」という思想にはうなずいてしまうが、気持ちの問題で、好きなものはたとえわからなくても、できる限り良い状態で味わい。
でも、Apple Musicを使わない場合のiPhoneミュージックの使い勝手は不安なので、心変わりしてApple Music継続するかも。


■1か月ほど前に、母のiPhoneにApple Musicを設定した


歳をとって、あまり積極的に聴かなくなったが、母は音楽が好きなほうだ。10-20年くらい前は、おれのケミカル・ブラザーズやプライマル・スクリームのCDを借りて居間で聴いていたり、若いころはバイトでDJの真似事もしていたらしい。

最近はCDやレコードを引っ張りだすのが面倒だろうと、帰省した時に「ラジオ代わりに使ってはどう?」と提案した。


■「サジェスト/リコメンド機能」は的外れ


 Apple Musicは、最初の設定で、好きな音楽ジャンルを選択させる。それから、そのジャンルのなかで特徴的なアーティストの好き嫌いを選択させる。これで大まかな好みを把握する。

母は「ロックや、ジャズとかR&Bが好きだわ。歌謡曲やポップスなんかはいまいち」とジャンルを選択したのだが、その後に出てくるアーティストは「誰これ、全然知らない人ばっか!」だった。その後にかかった曲も、聴いたことがないだけでなくチンプンカンプンで、良さが理解できなかったらしい。

母の言う好みとは真逆に、歌謡曲とポップスを選択すると、ようやく母の知っている名前が出てきたのだが、母は苦い顔をしていた。


■「わたしが好きだ」と認識しているものと、実際にわたしが好きなものは違う


母は「自分はジャズとかR&Bが好き」と認識していたが、実際はよく聴くわけではない。意地悪な言い方をすると、「お洒落な音楽を聴く自分」というセルフ・イメージと実際の行動が一致していない。

これはよくあることで、おれは自分で「ブルーズが好き」と認識しているが、アルバムを通して聴くと「全部、おんなじ曲じゃん」と退屈に思ったり、マジック・サムとマジック・スリムとメンフィス・スリムの区別がつかなかったりする。

「この喫茶店は美味しいし居心地がよくて好きだ」と思っていたのに、アルバイトが入れ替わると足が遠のき、実は「美人店員が好き」なだけだったと気づく。

「趣味は人間観察です」という女性は多いが、実際に観察している人は少なくて、「わたしは周りに溶け込めないのではなくて、一歩ひいたところから観察しているんだ」というメッセージを自分や他人に言い聞かせようとしている人が多い。


■「サジェスト/リコメンド機能」の難しさ


 「わたしが好きだ」と認識しているものと、実際にわたしが好きなものは違う、という前提にたつと、ユーザが自称する「好きなもの」はあてにならない。

あてになるのは、実際の購入履歴などの行動だ。かと言って、本人がそう自認しないこともある。たとえば、歌謡曲のCDをサジェスト、リコメンドしても、母は買わないだろう。
「わたしはそんなもの好きじゃない」と思うからだ。

もしかしたら、そう言う母のCDラックには既に入っているかもしれない。(「もう持っている」) そんな時、人は苦い顔をするのだ。そして、そんなサジェストをしてきたサービスを、少し嫌いになるのだ。



2015-09-24

主旨説明 「どうして、ヘンな新聞を作って配っているのか」


そういえば、おれが何をしているのか説明していなかったと気がついた。
今、amazonで新聞を配っているのは、こういった主旨でやっていることなんです。

■おれのすきなもの


おれは、こどもの頃から、新聞を描いて配るのが好きだ。
へんな歌を作って録音するのが好きだ。
バカバカしさ、悲しさ、エロさが好きだ。


■宮武外骨を知ってるかい?


明治・大正時代にユーモアたっぷりの新聞を作ってた人だ。
今読むとわからないものも多いけど、ユーモアと意見あふれる紙面は時を越えて素敵。
自分がおもしろいと思ったことや言いたいことを、自分で書いて、メディアも作ったなんて素敵。

魅力的なひとを知ると感染してしまう。


■こどもの自分をわらわせたい


おれも、おもしろいと思ったことをアウトプットしなきゃ、
今ならいろいろな方法があるぞ、と重い腰をあげた。

これまで、ともだちとクスクス笑っていたのを、みんなにも見てもらいたい。

こっそり気持ちよくなっていたところを人に見せるのだから、
アダルト・ビデオに出る気分だよ。

もし、ひとりでも、面白いと思ってくれたら万歳。
とくに、おれに似たこどもをわらわせたい。

2015-08-24

Shopping Gameのめまい

 ■Sex Pistolsは"All your dream is a shopping game"と怒鳴った


 街をうろつくといやされるのは「すべて金で買えるから」「金で買える幸せがたくさんあるから」。
でも、金で買えるものしかなくてめまいがする日もある。






2015-08-23

街の表面

■2015年8月


 残暑のなか、カメラ片手に吉祥寺、神田、秋葉原、銀座をうろついた。
 
#SurfaceOfaCity










2015-08-12

感想文 映画「男はつらいよ 寅次郎あじさいの恋」

■どうして、手にとったか


寅さんを観たくなるのは、人生の節目や「おとなって何だ」って考える時期だと思う。おれの場合、小学校高学年、10代最後、30超えた今。また、好きな俳優のフィルモグラフィーをたどると「男はつらいよ」に当たることも多い。

寅さんの、自分のことを棚にあげてのお説教とか、何気ない会話からだんだん自分のセリフに酔ってきちゃうところとか、家庭内に流れる気遣いと断絶の滑稽さとか。ダウンタウンの「とかげのおっさん」コントの第一話に通じるユーモアを感じる。

そんなユーモアや悲哀を感じたくてBSで放送されている「男はつらいよ」を何週分か録画しておいた。最初に観たのが、本作。




■カラッと乾燥した地獄


今作は、「女性が身を預けてくれた時に受けとめきれなかった」経験のある男には、つらい映画だ。
ジメジメはしていないけれど、カラッと乾燥した地獄なのだ。そういう意味で、今作はダウナーだ。
公開時の「このたびの恋は 寅次郎にとって ちょっぴり、きつうございました はい…」というキャッチコピーからして、それは狙いどおり、または「どう編集しても、そうなっちゃった」んだろう。

ある感情や情景と強く結びついて、これからも繰り返し思い出すんだろうな。ひどく酔っ払った時に映画ダンボのピンクの象を思い出すみたいに。


■受けとめる器のない男に頼るのを諦めた


女性の側からは、どう見えるんだろう。きっと「受けとめる器のない男を頼るのを諦めた」に過ぎない。
「『男に全身でぶつかっていかない』からお前は失恋したんだ。幸せになれないんだ」と老人に説教をされ、半信半疑で、次の男にぶつかろうとする。すると、相手は意気地なしで見て見ぬふりでスルリと身をかわす。頼るに値する器の男じゃないんだ。頼りがいのある男なんているのか、と元の生活に帰っていく。

 男はふがいなさを見限られ、女はしたたかに生きていく。
男にとっては乾燥した地獄だ。テレビ放送で観たあと、最近「観ずに死ねるか!傑作絶望シネマ」という特集上映で本作がかかった、と知った。立川志らくさん、高橋洋二さんの解説がついたそうだ。おふたりがどんな絶望を語ったのか、気になる。

個人的には、絶望というよりは諦念を感じた。寅さんにとっても、女性にとっても。寅さんは懲りずにカラ元気で同じことを繰り返すのだ。


2015-08-02

三題噺 No.001「過労死」「つくし」「相撲取り」

■三題噺 No.001「過労死」「つくし」「相撲取り」

ご笑覧ください&あなたも噺を作って遊ぼうよ!




おしまい