2016-01-11

2016年1月11日(月祝) スタンダップ・コメディの復習

■アメリカのコメディ番組の変遷をめぐる本を読んだ。

80年代から赤塚不二夫の「面白グループ」や「笑っていいとも」などで活躍されている高平さんが1994年に出した本の、加筆版だ。「80年代日本の、売れっ子TV構成作家」という視点で、アメリカへの憧憬を含めて語られていて面白かった。知らなかったジョークもたくさん載っていた。

■面白かったいっぽうで

2016年になって読んだおれは、「観たことあるビデオの要約や、ジョークの書き起こしばかり」「あらすじやジョークを説明しすぎ」という印象を受けた。

しかし、それは今の状況が、1994年と大きく違うからだ。今は、この本で紹介されているTV番組のソースや、ジョークに簡単に直接アクセスできる。

サタデー・ナイト・ライヴはシーズンごとにDVDボックスが発売されているし、伝説的なコメディアンのステージは、輸入DVDや動画サイトで観ることができる。


 1994年当時は、おれはこどもだったけど、情報源はほんとうに少なかった。近所のレンタルビデオ屋に、サタデー・ナイト・ライヴの「ベスト・オブ」が数本置いてあるだけだった。字幕がないとほとんどわからないのに、「ベスト・オブ・エディ・マーフィー」をカセット・テープにダビングして繰り返し聴いていたのを覚えている。

そんな1994年当時に、この本で「観る事ができないコメディ」に触れる、ってとても素敵な体験だっただろう。しかも、一流の構成作家が面白さを損なわず翻訳、要約してくれている、贅沢。

 この本の帯には「あんなに面白かったサタデー・ナイト・ライヴは、八十年代で終わってしまったのだろうか」とある。DVDボックスや動画サイトにきちんとアーカイブされた、ってことはもう終わった、ってことなんだね。

■キラキラ

2016年の今、この本を読んでも、1994年出版当時と同じ感動は味わえない。けれど、自分の父親の世代にとって、アメリカのコメディがどう輝いていたか、そういうキラキラを間接的に味わうことができた。



高平哲郎 スラップスティック選集 4
スタンダップ・コメディの復習 -アメリカは笑いっ放し-

発行:ヨシモトブックス
発売:ワニブックス