2015-12-03

データを「要約」する技術 Teraki

■データ量の爆発に対する、「要約」技術


IOTが喧伝されて久しい。
センサーが生むデータ量が爆発し、手に負えなくなるのは明白だ。
通信速度やデータ処理速度も向上しているけれど、追いつかないだろう。

ちょっと古いが、Teraki というベルリンのスタートアップの記事を見つけた。

要点は、
  • Terakiというアルゴリズム(ソフトウェア)はデータの要約ができる。

  • 要約の方法は、音楽分野でfrequency decompositionと呼ばれる方法に近い。

    frequency decompositionというのは、音をsinusoidという単位に分解する技術らしい。
    よくはわからないけど、データを点の集合ととらえず波形でとらえて要約するということかな。

  • このアルゴリズムはデータ圧縮とは異なる。
    データ圧縮は、デバイスのバッテリーや処理時間を無駄に消費する点で向いていない。

  • メリットは、言うまでもなく通信量、処理時間、データ容量の削減。

  • すでに自動車メーカと実装をはじめていて、自動車が生む250MB/時のデータを10MB/時に削減し、精度は99.99%できる。

■記事の内容について


徒然と思ったことをメモ。

  • データの種類によって、適用できるか否かが変わるんじゃないか。
    波形に変換しづらい、バラバラなデータって、要約しづらそう。
    きっと精度が下がるんだろうな。

  • frequency decompositionってどんな技術?
    音がどんなふうに聴こえるんだろう。

  • IOTセンサーが発する波形を音楽として聴けたら、面白そう。
    街なかのセンサー群では、きっとアンビエントな感じだろう。
    テクノがかかっているクラブのセンサー群は、二次創作の材料になりそう。
    人や物の動きに一定のパターンがあるから。

  • IOTデータ量の爆発って、先日読んだ「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。」で、数値目標が増えすぎてシステム化しても管理できなくなる組織に似ている。
    逆に言えば、企業が導入しているシステムにもデータ要約アルゴリズムの需要はある。

■人の脳にもほしい(1)

人間がメディアから受け取る情報量も、もう爆発している。

「おいしいトコどりしてくれる」を売りにしたキュレーション・サービスや「顧客の好みを学習する」は既にあるが、どれも、いまいちピンとこない。

恣意的なマーケティングが絡んでいるからだ。
本当の意味での要約ではなく、「これが金になるんです」というアピールになっていて、的を射ていない。


理想は
  1. 分厚い本を入力すると、要約がもらえる有料サービス
  2. TVのバラエティ番組の面白いところだけ編集してくれるレコーダー

1.は、人力で実現している有料サービスを利用したことがあるが、イマイチだった。

ライターがビジネス書を数ページ分に要約するサイトだったのだが、何にも伝わらなかった。
実際に読んだことのある本についても、要点を外していた。

これも、本の売り上げに響かない配慮が邪魔していたのだろう。
「続きは本書で」とか、要約ではなく紹介に過ぎない内容も多かった。

2.は、今のyoutubeが一部、違法に果たしているサービスかもしれない。


■人の脳にもほしい(2) いや、もうあるぞ。


知覚情報の処理も要約できたら、面白い。
もっと他事を考えたり、第六感が開発されたりするんじゃないか。

たとえば、特殊なメガネをかけると、視覚情報を要約してくれる。
道を歩いている時にかけると、

  • 歩くのに支障がない程度の路面変化は省略してくれる
  • 通行人の細かい動きや持ち物、表情は省略してくれる
  • 通行人のなかから、知人や、好みのタイプの異性をハイライトしてくれる
 と、ここまで考えて、「あ、これ、もうあるぞ」と気づいた。
我々の脳は、情報量の爆発に適応しつつある。

「電車内で化粧する女性」について語る時、「他人は背景」と認知されている、とよく語られる。

つまり、情報を要約して、自分に重要でないものは背景として省略し、気に留めないのだ。

この傾向はもっと加速するのだろうな。


2015-12-02

よいコンサル、わるいコンサル、ふつうのコンサル

今さらながら「申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。」を読んだ。

■どうして手にとったか


おれは、ITコンサルを生業にしている。
参加しているプロジェクトが、外的要因で暗礁に乗り上げてしまった。
結果としてクライアントの問題解決プロジェクトを完遂できなかった。

責任を問われる状況ではないのだけれど、これまでの自分たちの成果を反省したく、手に取った。


■主旨

イントロにエッセンスがつまっている。
おれの理解はこうだ。

「ビジネスの問題は、ことごとく人間が引き起こしている。
人間は、コンサルティングの理論が前提としている、合理的で単純な論理的存在ではない。
だから、コンサルティングの理論が論理的に正しくとも、必ずしもビジネスには効かない。」

「問題のほとんどはコミュニケーションだから、ちゃんと話そう。
コンサルタントに『考えること』を丸投げせず、自分で考えよう。
そのうえで、うまくコンサルタントを使おう。」


■イチャモンをつけるなら


「コンサルティングの理論が正しくない」証明として、本書では反証が複数示されている。
著者の言うとおり「理論の誤りを証明するためには、反証がひとつ見つかれば十分」だ。

論理的には。

イチャモンをつけるなら、
「もしビジネスや、それを動かす人間が必ずしも論理的ではないなら、その反証は、理論の誤りを証明できない」
のだ。
「コンサルティングが効く場合も、効かない場合もある」という証明にしかならない。


おれは、本書で批判されているコンサルティングの理論が誤っているとは思えなかった。
「こんなケースでは効かなかった」という失敗事例集として読んだ。

じゃあ、読んでいてつまらないかというと、そうではない。
自虐的なあるあるネタとして愉しみ、反省した。


■コンサルタントのよしあしの差は、明文化しづらい


よいコンサルタントは、とにかく結果を出す。
結果とは、クライアントが抱えていた問題の解決だ。

いっぽう、わるいコンサルタントはゴミを作る。
そして、その自覚はない。
なぜなら、問題の解消に至る前にクライアントに契約を切られ、結果さえ見ないからだ。

ふつうのコンサルタントは、ただの「デキる」秘書だ。


出す結果には歴然とした差があるのに、その差を明文化するのは難しい。

ひとつだけ、はっきりとわかるのは、わるいコンサルタントは「嫌なやつ」だ。

  • コミュニケーション能力が低く、自分の身のほどや無知を正しく認識していない(イタい)
  • 偉そうに読みかじった方法論を無根拠に振りまわす(素直なクライアントは迷惑をこうむる)
  • クライアントの陰口をたたく
  • プライベートでは、できるだけ顔を見たくない

 同じコンサルティングの方法論を使っても、よいコンサルタントが使うと問題が解決し、わるいコンサルタントが使うと問題を悪化させる。

「嫌なやつ」は仕事の結果は出せない、という点は、本書の主張と近いのかもしれない。




申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。
I'm Sorry I Broke Your Company

カレン・フェラン(Karen Phelan)著
神崎朗子訳
大和書房

本書を読んでいて、同じスタンスの本を思い出した。
世の中で盲目的に「信じられている」心理テストの反証をした書籍。
おもしろかったー!

歯のないブルーズ・マンがなぜかっこいい

■ヒル・カントリー・ブルーズにうっとり


体調が悪くて寝込んだ。
日中、ウィスキーで喉をうるおしながらDVD「You See Me Laughin' : Last of Hill Country Bluesmen」を観た。

90年代、00年代に、突然、若い世代の一部を熱狂させたブルーズの1ジャンルについての映画。

演歌の「ブルース」と混同されて「古い懐メロ」というイメージがあるかもしれないブルーズの、猥雑で荒削りな魅力が満載。
ブルーズのジャンルとしては、ブロークン・ブルーズと呼ばれるジャンルじゃないかな。

正直、英語は半分以上聞き取れなかったのだが、うっとりするほど素敵だった。



■伝説を伝承するスター、伝説そのものが登場


おれも00年代に少し遅れてブルーズにうなされた一人だ。
多くのブルーズ好きがそうであるように、入口はロック、ポップスのミュージシャンからの参照だ。

おれの場合は、ストーンズに始まりジョン・スペンサー・ブルーズ・エクスプロージョン、ブラック・キーズだ。
おれにとってのスターが、さらに上空で輝く、マディ・ウォーターズ、R.L.バーンサイド、ジュニア・キンブロアを教えてくれた。

この映画は、その熱狂を作った人たちがたくさん出てくる。
おれの世代にとっては、音楽の先生だ。
前述のジョン・スペンサー・ブルーズ・エクスプロージョン、イギー・ポップ、U2のボノ、ファット・ポッサムの関係者。
(ボノは、本人の歌は大仰で好きではないけど、好きなものは共感するのが不思議。
ジュニア・キンブロア、チャールズ・ブコウスキー、エッジのギター。。。)

それだけでなく、R.L.バーンサイド、ジュニア・キンブロア本人も登場する。
T-モデル・フォードもかっこいい。

要するに、贅沢な映画なのだ。
クラシック音楽に喩えると、一流の音楽の先生が魅力を語るだけでなく、ベートーベン本人も登場する。しかも演奏シーン盛りだくさん、という感じだ。


■陶酔という愉しみかた


ジュニア・キンブロアがやっていたジューク・ジョイントで、愉しんでいる観客も素敵だ。
お洒落や洗練とはほど遠いが、うっとりするような自由と猥雑さと熱がある。

こんなクラブがあったらなあ、と思う。
お洒落で陶酔からは遠いクラブやライブスポットが多い。



■歯のない男が、なぜカッコいい


伝説的なミュージシャンの2000年頃の演奏、インタビューがたっぷり収録されているが、みんな、ことごとく歯がない。
服装もいなたい。
初めて入った居酒屋の隅っこに、こういうおじさんいるなあ。

それが、なぜ、こんなにカッコいいんだ!
イケメンじゃないカッコよさ。憧れる。




DVD " You See Me Laughin' "
Fat Possum Record

R.L. Burnside, Cedell Davis, T-Model Ford, Junior Kimbrough
Bono, Iggy Pop and The Jon Spencer Blues Explosion

2015-12-01

SUN RAの音楽をたとえよう!(大喜利状態)

■たとえようのない、SUN RAの音楽

プライマル・スクリームのXTRMNTRの影響として挙げられていたので
関心はあったのだけれど、本格的に聴いたことのなかったSUN RA。
あまりレコード屋さんに行っても置いてないんだ。

amazonプライム・ミュージックにたくさんアルバムが入っているのを見つけた。
座禅組んだり、考えごとしたり、絵を描いたり、文章を書いたり、ウトウトするのに気持ちいい。
こういう場面はテクノもよく聴くけど、それとは違った効能がある。

それにしても、なんとも喩えようのない音楽だ。
言葉で説明しづらい。

ジャンルやラベルがつけられない。
レコード屋さんに「置いてない」というよりは、どの棚に並んでいるかわからない、といったほうが正確かもしれない。

言葉で把握できないものは、語れないでしょう。

ということで、なんとか言葉で説明しようとがんばってみた。

水平思考を言葉で説明しようとするような、無粋な振る舞いとは承知の上で。
抽象的なものを具体化したり、ないものの姿を想像させるのが、おれの生業と趣味なので。


■お題「SUN RA MEDIA DREAMS」


アルバムごとによって全然違うのでお題のアルバムを挙げます。



■たとえ1



超新星フラッシュマンの悪役が、
遺伝子シンセサイザーで怪獣を造る時の音楽


■たとえ2

中国の「ひとりっこ政策」で
クリスマス・イヴにテレビから発信されていた電波



■たとえ3

桃太郎がモモの中で大きくなるまでの、
いやらしい一部始終



■たとえ5

好きな子のリコーダーを盗んだのはボクじゃない、
と主張する小学生の心情


■たとえ6


CD『志ん生が読む 六法全書』



いやあ、難しい。

人気キュレーターの情報源、一次情報

■海外の一次情報


最後に海外に行ってから1年以上経つ。
モンティ・パイソンの最終公演を観にロンドンに行ったのも昔。

以前、海外の仕事をしていたから、おれは英語は多少できる。
いや、できた、と言うべきか。

仕事も変わって、プライベートでも海外旅行の機会は少ない。
使う頻度が少なければ、回路は錆びる。
大好きな海外ドラマ「Mad Men」も、英語字幕付で6割わかってるか不安、ってレベル。

だから、リハビリとして意図的に、英語を読む機会を増やしている。


■人気ネット記事の一次情報


よくチェックしているネット記事は、その一次情報をたどるよう心がけている。
すると、海外のニュースソースを見つかる。

日本語の、人気記事や有名キュレーターのブログが、
意外と少ないソースでできているのは驚きだった。

海外のニュースソースそのものをチェックするようになると、
ネット記事や職場での話題は既視感を感じることが増えた。


■既視感による優越感 << アクションを起こす才能


人気記事に既視感を感じるということは、自分のアンテナ能力の不足を感じるということだ。

「ああ、その話は知ってる」という優越感もないことはない。
しかし、ニュースが琴線に触れ、「記事/話題にするアクションを起こす」に至っていないのは事実だ。
(ネット記事の中には、琴線より金銭に触れてるケースもあるだろうけど)


アイデアを思いついたり、面白さに気づくのとは別に、
アクションを起こせる才能はうらやましい。
なかにはさらに、わかりやすいパッケージングができる、
という才能を持った人は、特にうらやましくてしょうがない。


2015-11-29

水平思考はジャズ・レコードのように

■手に取ったきっかけ

生業にしている仕事のプロジェクトが外的要因で行き詰ったので、
視点を変えるきっかけがほしかったのかな。


■新しいアイデアを創造する思考法「水平思考」


 本書は、まず巻末の要約を読むとよい。
はっきり言って、本書の論理的な内容は、その数ページがすべてだ。

巻末の要約を読んで「言ってること、だいたいわかるな」と共感したら、
内容を読み進めると心地よいだろう。

ただし、答えが提示されるわけではない。

■ジャズ・レコードのレビューだと思って読め




 本書を読んでも「これが水平思考だ」と、はっきりとはわからない。

「水平思考」というのは著者の造語で、論理的な思考を「垂直思考」と対比して名づけている。

つまり、水平思考は「論理的な思考を超えたもの」なのだが、書籍という論理的な媒体で描写することは難しい。

絶対に音楽を表現できない活字で、ジャズ・レコードを評するようなものだ。


 本書が工夫しているのは、視覚イメージに例えて上手に説明しているところだ。
その第四章のおかげで、おれは「わかったような」状態になった。

残りの章は、以下について語る。要約のとおりだ。
  • 水平思考の定義
  • 水平思考が、どのような新しいアイデアを生んだか。
  • 水平思考を阻害する「ラベルづけ」

■水平思考の実践のためには、少し物足りなかった


次は、水平思考で有名な、横井軍平さんの本に手を伸ばそうと思う。

「水平思考の世界 固定観念がはずれる創造的思考法」
エドワード・デボノ著 藤島みさ子訳
きこ書房



著者は、「6つの帽子メソッド」の開発者だということ、
思考法を演繹して「話し方」について軽薄なタイトルの本を書いている、
ということを事後に知った。

2015-11-23

アパートの鍵貸します

■著名なコメディ映画だけど、恥ずかしながらこの歳で初見


もの悲しさが少し混ざっているところが好きだ。
その描き方も上品で、嫌味がない。
立川談志が憧憬するビリー・ワイルダーの凄さ。

保険会社の仕事の無機質さ。

男どもにとって、女性がどう見えているか。

主人公のバクスターがいかにつまらない男か。

バーでバクスターに近づくオバサンのうっとうしさ。

フランの、あてのない生き方と身勝手さ。


■少し甘ったるい


物語は、すごく優しい筆致だ。
それが、ところどころ甘ったるく感じる箇所がある。

ラストは、フランが何処へ行ったのか、わからないほうが好きだ。
バクスターの部屋の物音は、種明しがあって嬉しかったけれど。
物音の後、ブザーが鳴って、バクスターの顔が見えて おしまい、くらいの意地悪さがおれは好みだ。

こういう、「もし・・・」を語れる映画って、素晴らしい。
要するに、物語の語り口と、シャーリー・マクレーンのしたたかさにウットリしてしまい、夢中で過ごした2時間だった。


■恋愛映画は、もう女子中学生のものか?


おれは、ほとんど映画館に新作邦画を観に行っていないのだけれど、
仕事場がシネコンの近くなので、最近かかっている映画のタイトルくらいは見聞きしている。

恋愛ものが、ことごとく女子中学生向きではないですか?


もう、オジサンは映画会社のターゲットから外れているのかもしれない。
「オジサンは映画館に通わない」と思われているのかもしれない。

うん、そうだ。
だって散々「オジサン向け」の皮をかぶったメジャー映画に騙されたんだもの。
そりゃ映画館から足も遠のくよ。

たまには、オスに向けた恋愛映画も観てみたい。
数少ない経験から言えば、大根仁さんの「恋の渦」は素晴らしかった。

ヒットしたオス向けの恋愛映画といったら、同じく大根仁さんの「モテキ」かな。
あれは、中学生の観るAVだったけれど、オジサンがうっとりする恋愛もの、また観たいな。