2015-11-22

悪夢の愉しみ方

■夢のなかの街


こんな夢をみた。と、時々、日記をつける。
起きてからも、ずっと印象に残る夢がある。

おれの夢は、同じ街で起こる。
時間や、登場人物、出来事はバラバラなのだが、
建物や風景の断片がつながることに気づいた。


■街の断片


方角はわからないが、にぎやかな駅を中心に東西に高架が走る。
西側で、電車と高速道路が交わっている。
高速道路の下には、シンガポールを思わせる飲食店、ラーメン、喫茶店などが並ぶ。

高速道路と駅の間には、歓楽街があって、
ゴミゴミとした路地に、雑居ビル、飲み屋、風俗店。
華やかなネオンはなく、陰鬱とした、猥雑さがある。

おれは、夢のなかでこの辺りをウロウロしている。
この間は、駅から路地を通り、歓楽街へ抜けた。


■こどものあそび


こどもが、自分の家のまわりを開拓する感覚だ。
知らない道を歩いていくと、知っている店の横に抜けたり、
友達の家に着いたりする。

こどもの頃は、親に連れられて通った街の断片がつながった。
今は、夢で観た断片がつながっている。


■街での出来事


夢のなかでも「あ、こう つながっているんだ」と喜びがあった。

喜びと、「また、この街にいるのか」という閉塞感。


夢のなかで、この街で起こる出来事は、あまり明るくない。
悪夢というほどではないけれど、後味に苦味が残る。

この間は、アパートの二階から飛び降りるぞ、と わめき散らす老人の演説を聞きながら、コートの襟をたてて、路地を逃げるように走った。


■悪夢の愉しみ


おれは、夢のなかでは、ふだんに増してボーッとしている。
それでもさずがに最近は「この街並はいやな気配がするな」と感じるようになってきた。
そして、いくつか出来事が起こった後「あの街だ」と気づいた時の絶望感。

ま、考えようによっては、悪夢のなかにちょっとした愉しみがあるのだ。
「なるほど、この路地はここにつながるのね」と。