■どの職場でも聞かれるセリフ
「同じ仕事を、そのまま続けるのは思考停止だ」
「思考停止せず、考えぬくことが重要だ」
オジサンが説教で言うこともあるし、新入りが気持ちよさそうに言うこともある。
おれは、この言葉たちにずっと違和感を抱いてきた。
■考えることは、エラいのか
気持ち悪いのは「考える」至上主義のニオイだ。
長いこと考えたからってエラいのか。いや、ちがう。
考えることは、成功するための一手段であって、目的ではない。
考えすぎるバカは始末が悪い。
おれも「考えている」「悩んでいる」自分に満足してしまうことがある。
ちっとも物事が進展していないことを指摘されると、
考えている時間が長いぶん、腹がたって反発したくなる。
■思考停止、いいじゃん
人間は、思考停止により進化してきた。
行動する際に、いちいち考えていては効率が悪い。
思考停止して行動できるのは、効率的だ。
思考停止をやめたら、朝起きてからずっと、
タイムスリップしてきた原始人のようにビクビクしなきゃいけない。
0歳児にもどってしまうと言ってもよい。
「なんだ、四方を囲む平面は。なぜ倒れないのだ」
「道路を行き交う鉄の塊は、どうして動くのか」
「鉄の塊に乗って、どこかへ行く目的はなんだ」
「なぜ、足は地面にくっついているのだ」
■例のセリフの修正案
冒頭のセリフの言いたいことはわからないでもない。
でも、表現が間違っている。
「考える」ことが褒められるのは、結果が出た時だけだ。
だから、考えること自体ではなく、
よいところに着目したり、前提を熟知したり、というほうが大事だ。
重力を発見できたのは、手当たり次第考えていたわけではなく、
地面に対するモノの動き、という点に注目して
思考停止せず、前提や思いこみを疑ったからだ。
すでにある前提にまず乗ってみて、思考停止して行動できるくらいになる。
結果にうまくいかないところや変えたいところがあったら前提を疑ってみましょう、
ってだけのことなんじゃないか。