天国は、ベッドと銭湯にしかないと思っていた。クラブで多幸感に包まれることもあるが、悪い時は地獄だ。
ベッドと銭湯の次に多く、天国に連れてってくれるのは、名画座、特に新文芸坐だ。週末に黒澤明と深作欣二を4本観た。スクリーンで、しかも35mmフィルムで。
まわりに爺さんが多いが、天国なのでしょうがない。
映画を観に行く時は、電車で行く。本を開いたり、音楽を聴いたり、しないようにしている。濃厚な時間を過ごす前は、退屈なほうがよい。
名画座の入場料は、安い。お金で買える快楽のなかで、一番安い。なぜ、安いのだ。すきなものが安いと、すこし悲しい。