■仁義なき戦いをフィルムで観た
幸いなことだ。池袋の新文芸坐のスクリーンで、フィルムで、初めの4作を観た。
たしか、菅原文太さんの追悼で「仁義なき戦い」「仁義なき戦い 広島死闘篇」を、
加藤武さんの追悼で「仁義なき戦い 代理戦争」「仁義なき戦い 頂上作戦」を。
映画をフィルムで観るということは、制作者と同じソースを、エッセンスだけ愉しむということだ、という夢をおれは観る。公開当時よりも劣化しているので、製作者の意図どおりばかりではないだろうが、きっと近いんじゃないか。良くも悪くも鮮明「ではない」から、伝わりやすいことと、伝わりにくいことがある。
主題や迫力は伝わりやすい。描きこみや言葉は伝わりにくい。はっきり言って、セリフの何割かは聞き取れないので外国映画を観るようだ。外国映画を字幕や吹替なしで観る楽しみに近い。
■ブルーレイ、原作と脚本で確認
ブルーレイで観ると、名優の表情や情景の美しさがわかった。
笠原和夫さんの脚本を読むと、「描きこみ」と「言葉」がわかった。特にフィルムで観た時に気づかなかったツジツマがようやくわかった。飯干晃一さんの原作を読むと、笠原和夫さんの脚本がいかにすごいかがわかった。原作のあちこちに散らばるエッセンスや名台詞が、あの濃厚な脚本に凝縮されていることに驚いた。これは、作品に表れない取材と研究がすごいぞ。笠原和夫さんの資料本が昔、出ていたそうなのでチェックしてみたい。